【不登校伝記(1年1学期):2章】その日、行き渋りが始まった
[最終更新日]2021/03/21
その日、突然始まった。
それは夏休みが近付いてきた6月下旬に起こった。朝が弱い娘は前もって起こされる事よりも「きちんと行くからギリギリまで寝たい」と僕に提案し、ゴールデンウィーク明けくらいからそんな生活をしていた。パッと起きれるなら文句は言わないと見守っていたところ、キチンと動けていたのでそのままにしていたが。。。。
起きれない日がやっぱり来た
いずれはこうなるだろうと予測はしていたので「まぁ、そうだよな」と娘を起こそうとすると反応が鈍い。夜更かしをした訳でもなく「愚図り」かなと思って起こそうとする僕。そして起きない娘。
いつもと空気が違う事に気付く。
娘のまとう空気が重たい。
眠たい愚図りとは明らかにまとう空気が違う。重苦しい。即座に嫌な予感がしたがスルーして娘を起こしにかかる僕。当然起きない娘。
さすがに怒るぞ
と注意をすると動き出す娘。ああ、間違いない。行動の全てが後ろ向きだ。気持ちが学校に向いていない。「急がなきゃ」の感情が無い。
これは行く気が無い
無駄な期待と努力をする父
娘はもう学校に行く気が無い。それは表情とまとう空気、行動全てから読み取れる。だが、直接口で「行きたくない」と言った訳ではない。だからまだ「行く」かもしれない。そんなあり得ない可能性に全てを掛けようとする父親がそこにいた。無謀な話だ。
- 「急がないと遅れるぞ」
- 「今日は休みじゃないだろう」
- 「登校班の皆に迷惑が掛かるぞ」
娘に「行きたくないけど、皆に迷惑掛かるから行かなきゃ」という良心の呵責とそれに伴う行動が生まれないかと期待して言葉を掛ける僕。からめ手で「学校に行きなさい」とメッセージを送ったところで効果が出る訳もなく。
その場にいる僕自身が一番わかっていたのに。
本当に無駄な足掻きをしていた。
納得はいかないが動くしかない
動く気の無い「魂の抜けた」様な状況の娘を前に父としての納得は何一つ生まれない。生まれないが現実としてそれが起こっている。とにかく登校班に迷惑をかける訳にはいかない。
「ごめん、今日は先に行っててくれるかな」
そう登校班のリーダーに伝えて、部屋で娘と向き合うことにした。
仕事もあったがそんな場合じゃない。娘はまだ何も言葉を出していない。ただ無言で、態度で「学校は嫌だ」というアピールをしている。気持ちは十分伝わっているが、言葉で出てきていない状況では「そうとは限らないかも」という都合の良い希望的観測にすがりたくなる。
その「実際にはもうわかっているが、状況としては宙ぶらりん」を何とかしたかった。
「学校どうするんだ?」では意味がない。質問が弱すぎるのだ。腹をくくって答えを聞くしかない。
僕は答えのわかっている問い掛けを娘にした。
「学校、行きたくないのか?」
娘は頷いた。
ああ、我が子にこの状況がやってきたか。
友達か?学校か?
娘のこの状況を見て思ったのは2つの可能性。
- 友達とうまくいっていないのか?
- 集団生活に馴染めないのか?
友達の話は毎日していたので、特に人間関係で困っている素振りは無かった。懇談でもそういった話は無かった。集団生活の方が辛いのかと思ったがそんな印象も無かった。
わからないから直接聞くことにした。「友達か?」「先生か?学校か?」娘はどちらも首を振った。なら何だと言うのだ。
親はそれでも都合良く受け止めたがる
娘が学校を拒否した。この寝耳に水の状況において親として考えていた事は「実に都合の良い解釈」だった。
- まだ1日目だ。
- これはまだ登校拒否では無いんじゃないか?
- 数日休めば戻るんじゃないか?
「まだ傷は浅い」と考えてしまうのである。
これが大きな間違い。でもその瞬間の僕はそう思っていた。「今なら傷口も簡単に修復されるだろう」と。
初動ミス。これが自分の犯した最大のミスだったと思う。行動自体は間違っていなかったと思うが、認識を間違えていたのだ。
>>次は「回復は早かった」